2009年6月14日日曜日

第4回 坂の上の雲ミュージアム

Sakanouenokumo Museum
[image: "Sakanouenokumo Museum" on flickr, by ida-10]


[image: "坂の上の雲ミュージアム3" on flickr, by naoharu_tatara]



Sakanouenokumo Museum
[image: "Sakanouenokumo Museum" on flickr, by ida-10]




司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』は、松山に生まれ育った正岡子規、秋山好古、秋山真之を中心的登場人物として明治時代の動乱を描いた小説です。
この建築を設計したのが建築家・安藤忠雄。日本を代表する、世界的に著名な建築家のひとりです。安藤が指名されたのには、大阪の「司馬遼太郎記念館」の設計を担当したという経緯があるようです。

この建築は、大正時代の洋館「萬翠荘」や、子規と漱石とが共に暮らした「愚陀仏庵(ぐだぶつあん」のある松山城のふもとの一角に建てられました。

室内の展示室には、坂の上の雲を軸とした明治期の史料などが展示されています。三角形の平面形をしたこの建築は、床のタイルも三角、天井に空けられたトップライトも三角、と至る所に三角のモチーフがあらわれます。三角形の平面は敷地の形状から構想されたそうですが、子規と秋山兄弟という「3人」を表している、と想像することもできるでしょう。また、その三角の一辺には大きな開口が設けられ、「萬翠荘」と城山の緑を一望できるようになっています。

3・4階を繋ぐ階段も、この建築のみどころのひとつです。吹き抜けを突き抜け、上下階を繋ぐコンクリートの階段は動的で力強く、まるで『坂の上の雲』の時代や人々の精神性を表したようにも思えます。

このように、「坂の上の雲ミュージアム」は訪れる人々に様々な解釈・思いを描かせるような「詩的な」建築ということができるのではないでしょうか。



設計:安藤忠雄建築研究所
所在地:松山市一番町3-20(地図
主要用途:博物館
構造:鉄筋鉄骨コンクリート造 一部鉄骨造
階数:地下1階 地上5階 塔屋1階
建築面積:936.80m2
延床面積:3,122.83m2
竣工:2006年
外部リンク:坂の上の雲ミュージアム

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