2012年9月2日日曜日

第18回 今治市伊東豊雄建築ミュージアム


Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari
[image: "Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari" on flickr, by ida-10]


Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari
[image: "Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari" on flickr, by ida-10]


Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari
[image: "Toyo Ito Museum of Architecture, Imabari" on flickr, by ida-10]



今治市伊東豊雄建築ミュージアムは、建築家・伊東豊雄の作品を展示する「スティールハット」と、伊東豊雄氏の旧・自邸「シルバーハット」の2棟から構成されるミュージアムで、大三島の海沿いの丘の上、瀬戸内海の島々を背景に建てられています。

「スティールハット」は4種類の多面体を組み合わせて構成された建築です。建物の外部・内部とも壁が傾斜することで、壁・床・天井の区別があいまいな、不思議な空間が生み出されています。「斜めの壁」という展示室としては思い切った作られ方をしているのは、建築家本人の名を冠するミュージアムならではでしょう。
「シルバーハット」は、東京・中野に建てられていたかつての伊東氏本人の自邸(1984年)が再生されたものです。大小のアーチ状の軽やかな屋根が載る建物で、アーカイブ・ワークショップ棟として利用されています。


このミュージアムは、当初、近くに建てられている「ところミュージアム大三島」名誉館長である所篤夫氏が、自らのコレクションを寄贈するミュージアムとして、伊東氏に設計を依頼したものでした。それからプロジェクトが二転三転する間、伊東氏が若い建築家を育てるための塾をつくりたいことを話すと「それならばここでやればいいじゃないか」と所氏らがおっしったことが、このミュージアム建設に繋がったということです。(※)

伊東氏は「せんだいメディアテーク」(宮城県仙台市)などを手掛けた、世界的にも有名な建築家の一人ですが、建築家個人の作品を展示する、建築家本人の手によるミュージアムというのは、日本国内でも前例がありません。 このミュージアムは伊東氏を中心とした様々な建築関連の活動の拠点として利用されており、これからのミュージアムのあり方としての可能性を感じることができます。

※参考:今治市伊東豊雄ミュージアム「新たなる船出」p.6 (2011)


設計:伊東豊雄/伊東豊雄建築設計事務所
所在地:愛媛県今治市大三島町浦戸2418(地図
瀬戸内海交通「ところミュージアム」停留所から徒歩約3分
主要用途:展示場
「スティールハット」
構造:鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造
階数:地上2階
建築面積:194.92㎡
延床面積:168.99㎡
「シルバーハット」
構造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
階数:地上2階
建築面積:168.32㎡
延床面積:188.32㎡
竣工:2011年
敷地面積:6295.36㎡